営業・経営・AIの実践メディア

AI・業務改善

AIで営業メールを書く方法|丁寧なのに伝わらない下書きを変える、5つの入力項目

「平素より大変お世話になっております。このたびは弊社サービスについて、ご案内の機会を賜りたく……」。AIが作ったメールを眺める。失礼な表現はない。でも、自分が相手なら最後まで読むだろうか。

これは実際の生成結果ではなく、ありがちな下書きを想定した例です。丁寧さを頼んだつもりが、挨拶ばかり長くなり、何をしてほしいのかが見えなくなる。そんなときは「もっと自然に」と繰り返す前に、AIへ渡した材料を見直してみてください。

営業メールの下書きで先に決めたいのは、文章の調子より、相手にお願いする一つの行動。今回は商談後の資料送付を例に、事実を足さず、読み手が返事をしやすい文面を作る方法を紹介します。

場面・記入例は編集部による架空の例です。自社の実績を示すものではありません。

01「丁寧に」より先に、用途を決める

Microsoftの公式ガイドは、AIへの指示を考える観点として、目的・背景・参照情報・期待する回答を挙げています。[1] 営業メールにも応用できますが、長い指示文を覚える必要はありません。以下の5項目をメモにするところから始めましょう。

1.相手:誰に送るか。面識があるか。どこまで話したか。
2.目的:今回のメールで何を進めたいか。
3.事実:確認済みで、文面に含めてよい情報。
4.依頼:相手に一つだけお願いする行動。
5.制約:長さ、口調、書いてはいけない未確定事項。

ここで示す5項目は、公式ガイドの逐語訳ではなく、メール作成向けに整理した編集案です。使うAIや会社のルールに合わせて調整してください。

02事実欄には「分かっていないこと」も書く

例えば、先方が資料を見たいと言ったことは事実でも、導入を希望したとは限りません。資料送付の約束を、契約に前向きな発言として書き換えてはいけません。

材料は「確認済み」「未確定」「今回書かない」に分けると扱いやすくなります。確認済みは、次回の社内会議までに比較資料が必要なこと。未確定は、予算や導入時期。今回書かないのは、まだ社内で承認していない割引や納期。この区別を先に示しておけば、人が下書きを点検するときの基準にもなります。

入力前には、会社で利用が認められたAI環境かを確認してください。顧客名、メールアドレス、契約条件を入れなくても、役割名や仮の名称で下書きは作れます。単に名前を伏せれば十分とは限らないため、機密情報の扱いは自社の基準に従う前提です。

図で整理する

相手:誰に、どこまで話したか。目的:今回、何を進めたいのか。事実:確認済みと未確定を分ける。依頼:相手にお願いする一つの行動。制約:長さ・口調・足さない情報
本図は編集部による実践案です。

03そのまま使える指示文

以下は、架空の商談後メールを作る例です。実際の相手や事実に置き換え、入力してよい情報だけを使ってください。

【指示文】
商談後に比較資料を送る営業メールの下書きを作ってください。
相手:初回商談を終えた営業責任者。サービス概要は説明済み。
目的:相手が社内で比較検討するための材料を届ける。
確認済みの事実:候補企業の選定に時間がかかっている。先方は支援範囲と役割分担を比較したい。比較資料を送る約束をした。
未確定:予算、開始時期、次回商談日。
依頼:比較表に不足する項目がないか、確認してもらう。
制約:本文は250〜350字程度を目安に、短い段落で。丁寧だが過剰な敬語は避ける。実績、数値、値引き、納期、導入意思を新しく作らない。返信期限を勝手に設定しない。
出力:件名、本文、不足情報の3項目。未確認の情報が必要なら、本文を埋めずに不足情報へ記載する。

文章の長さは目的に合わせて変えて構いません。大切なのは「不足があれば質問する」または「不足情報として残す」と指定すること。すべて埋まった完成文を求めるより、確認が必要な場所を見つけやすくなります。

04文面例は、相手が読む順番で組み立てる

次は上の条件を基に編集部が作成した例文です。特定のAIで生成・検証した結果ではありません。

件名:比較資料のご送付と、確認項目のご相談

〇〇様

本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
お話にあった候補企業の選定について、支援範囲と役割分担を整理した比較資料をお送りします。

社内で検討される際に、追加で確認したい項目がありましたら、お知らせいただけますでしょうか。資料に反映する内容を整理いたします。

費用や開始時期については、条件を確認したうえで改めてご案内できればと考えております。
どうぞよろしくお願いいたします。

この例で相手に頼んでいるのは、比較項目の確認だけです。候補日時の選択、予算の回答、決裁者の紹介まで同時に求めると、返信の負担が増えます。どうしても複数の回答が必要なら、優先する質問を明示し、相手が一部だけでも返信できる形にしましょう。

05修正は「自然に」ではなく、箇所と目的を伝える

最初の下書きが長いなら、「冒頭の挨拶を一文にし、資料を送る目的を二文目に置く」。営業色が強いなら、「今回の依頼は比較項目の確認に限定し、面談の打診は削る」。同じ語尾が続くなら、「丁寧さを保ちつつ文を統合し、ますで終わる文の連続を減らす」。修正する場所と理由をセットで渡すと、比較しやすくなります。

一度に何種類も作らせる必要はありません。まず一案を読み、自分なら言わない表現に印を付ける。その箇所だけ直したほうが、言いたいことを見失いにくいはずです。

06最後は、原文と送信画面を見比べる

AIに誤りの点検を頼むことは補助になりますが、それだけで事実確認が済むわけではありません。送信前に、少なくとも次の点は人が確かめてください。

  • 相手の名前と宛先は正しいか。
  • 約束した内容と依頼が、商談メモに一致しているか。
  • 金額、日付、納期、効果を勝手に足していないか。
  • 送ると書いた資料は添付または共有できているか。
  • 共有リンクを相手が閲覧できるか。
  • 不明点を示す仮の文字やコメントが残っていないか。

下書きを作る時間が短くなっても、誤った約束を送ってしまえば、後の確認や訂正に手間がかかります。AIには文章を組み立ててもらい、人は事実と相手への約束を引き受ける。この役割分担を決めてから、いつものメール一本で試してみましょう。

参考[1]:Microsoft Support「Get started writing prompts in Microsoft Copilot」(2026年10月30日確認)

← 記事一覧に戻る