営業・販路開拓
初回商談のヒアリング|確認したい質問と進め方
商談が終わり、メモを開く。相手の話はたくさん書いてあるのに、提案をどこから作ればよいか決まらない。商品説明はできたものの、次の約束は「またご連絡します」のまま。
初回商談の目的を、情報を集めることから一歩進めてみます。相手の現状と変えたいことを理解し、提案を進めるために何を確認するかを合意する。質問は、その目的に必要なものから選びます。
01事前に分かることと、相手に聞きたいことを分ける
事業内容や公開されている商品情報は、商談前に確認できます。それを最初から順に聞くよりも、分かっていることを短く共有し、今回の相談に関係する部分を確かめたほうが会話を進めやすくなります。
一方、社内の運用、困りごとの優先順位、変更を検討している背景は、外からは分かりません。公開情報を見て「きっと困っている」と決めつけず、仮説として持ち込みます。
準備メモには「確認済みの事実」「今回確かめたいこと」「相手が知りたそうなこと」を分けて書きます。調査の仕方は、AIの企業調査を商談に使える情報に変える方法でも具体化しています。
02「課題は何ですか」より、いまの進め方を聞く
課題を一言で説明するのは、相手にとっても簡単ではありません。まずは現在の流れを聞き、どこで手間や待ち時間が生まれているかを一緒に整理します。
以下は業務支援の商談を想定した会話例で、実際の顧客とのやり取りではありません。
「注文が入ってから、社内の担当者に渡るまでの流れを教えていただけますか」
「そのなかで、確認し直すことが多いのはどの場面でしょうか」
「その確認が減ると、どなたの仕事が変わりそうですか」
最初から解決策に寄せるより、作業の流れ、困る場面、影響を受ける人の順に聞くと、何を提案するべきかを考えやすくなります。答えが想定と違っても、質問を予定どおり消化するより、その違いを確かめる時間を取りましょう。
図で整理する
03確認項目は、会話を整理するために使う
項目を一通り持っておくと聞き漏れを減らせます。ただし、すべてを初回で回答してもらう必要はありません。
| 確認したいこと | 質問の例 |
|---|---|
| 相談の背景 | 今回、見直しを考えたきっかけは何ですか。 |
| 現在の進め方 | 誰が、どの手順で対応していますか。 |
| 困っている場面と影響 | どこで時間がかかり、何に影響していますか。 |
| 望む変化 | どうなれば改善したと言えそうですか。 |
| 検討する人と判断材料 | ほかに確認される方と、必要な資料はありますか。 |
| 費用の考え方 | 検討する費用の範囲や、比較する基準はありますか。 |
| 時期と次の行動 | いつまでに何を決める必要がありますか。 |
予算・決裁権・ニーズ・導入時期を整理する枠組みとしてBANTがあります。Salesforce「営業プロセスとは?フレームワークやフロー図、可視化方法を解説」でも、この四つの確認項目が紹介されています。質問の順番や、初回にどこまで確認するかは、相手との関係や商談の段階に合わせて判断します。
04予算が決まっていないときは、判断の仕方を聞く
「予算はまだ決めていません」という返答があっても、それだけで検討していないとは限りません。課題を把握している途中なのか、費用の相場が分からないのか、社内の判断に必要な材料が足りないのかで、次に出す情報が変わります。
たとえば「費用を検討されるとき、作業時間の削減や対応件数など、どの変化を重視されますか」と聞く方法があります。相手が答えられない場合も、無理に数字を出してもらわず、比較材料を次回用意する役割分担にできます。
決裁についても、役職だけで判断しません。「次に社内で確認される方はいますか」「その方には何が伝わると検討しやすいですか」と、実際の流れを確認します。購入する人、使う人、判断する人が同じとは限らないためです。
05メモは「発言・解釈・合意」を分ける
「対応が遅くて困っている」という発言から、「自社サービスが必要」と結論づけるのはまだ早いかもしれません。人員の配置や社内ルールが主な原因なら、サービス導入とは別の対応が必要です。
商談メモは、相手の発言、こちらの解釈、合意したことを分けて書きます。次のような短い形式でも、提案を作るときの取り違えを減らせます。
- 相手が話したこと:月末に確認作業が集中する。
- こちらの解釈:入力形式のばらつきが影響している可能性がある。
- 未確認:実際の確認件数と、形式以外の原因。
- 合意したこと:共有可能な範囲の業務フローを次回確認する。
これは架空の記入例です。推測を相手の発言として残さないことがポイントです。
06最後に、次の一歩を双方の言葉でそろえる
終了前に「今日伺った内容では、まず〇〇を確認する必要があると理解しました」と短くまとめ、ずれがないかを聞きます。その上で、誰が何を用意し、いつ確認するかを決めます。
次回商談を必ず設定することが目的ではありません。条件が合わないなら、その理由を確認して区切る判断もあります。時期が先なら、再連絡してよい時期と内容を合意しておけば、曖昧な追客を避けられます。
商談後に見返すメモの最後が「検討中」だけで終わっていないか。相手と自分の次の行動が書かれていれば、その商談は次の仕事につながっています。
参考資料
参照確認日:2026年10月24日。