営業・販路開拓
営業リストの作り方|項目と優先順位の決め方
企業名、所在地、電話番号。空欄を埋め終えた営業リストを見て、手が止まる。「明日は、どこから連絡しよう」。リストは完成しているのに、行動の順番が決まっていない状態です。
営業リストを使える形にするには、情報量を増やすだけでなく、選んだ理由・確認できたこと・次にすることをそろえます。まずは一社について、この三つが説明できるかを見てみましょう。
01企業名を集める前に、「売れる条件」を一文にする
「製造業」「従業員100人以上」だけでは、同じ条件の会社が並んでしまいます。自社の商品がどんな場面で役立つのかを、もう一段具体化してみます。
たとえば受発注の業務支援なら、「複数の販売先から異なる形式の注文を受け、入力を手作業で行っている企業」。この段階では対象を考えるための仮説ですが、確認すべき情報が見えてきます。企業の規模は、その条件を探すための手掛かりとして使います。
同時に、対応できる地域、最低限必要な取引規模、導入までにかけられる期間も決めます。自社で対応できない条件が分かっていれば、調べた後に全社へ連絡する必要はありません。
中小機構 J-Net21「新規ターゲット顧客企業リストの作り方を知りたい。」でも、商品特性とターゲットに加え、投入できる人員・時間・費用を考慮してリストの作成方法を選ぶ考え方が示されています。
02大手A社と専門店B社。先に調べたいのはどちらか
ここでは、商品を小売店へ提案する架空の例で考えます。A社は全国展開している大手ですが、自社商品の価格帯が売り場に合うかは不明。B社は店舗数の少ない専門店で、似た価格帯の商品を扱い、新規仕入れ先の募集も確認できています。
短期間で提案の適合性を確かめたいなら、B社の取引条件を先に調べる理由があります。ただし、これだけで「B社のほうが受注できる」とは言えません。最低発注量や納品条件が合わなければ、優先順位は変わります。
逆に、大口取引を長期で育てる方針なら、A社の窓口を調べる活動にも意味があります。会社の魅力と、今週その会社に時間を使う理由は分けて考える。ここをそろえると、担当者ごとの判断の違いを話し合いやすくなります。
図で整理する
03最初のリストには、判断に使う列だけを置く
列を増やす前に、その情報で何を決めるのかを考えます。以下は、小さく運用を始めるための項目案です。
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 企業名・公式URL | 同名企業との取り違えを防ぐ情報 |
| 対象に選んだ理由 | 自社が役立てそうな場面を一文で |
| 確認済みの事実・出典・確認日 | 取扱商品、募集情報など。どのページで確認したかも残す |
| 仮説・未確認事項 | 困りごとの推測、取引条件など。事実と混ぜない |
| 連絡先・連絡条件 | 窓口と、営業連絡の可否など確認できた条件 |
| 状態・担当者 | 未調査、調査中、連絡済み、継続、見送り |
| 次の行動・期限 | 担当部署を調べる、資料を送るなど |
売上高や従業員数を必ず埋める必要はありません。その数値で対象を選別するのでなければ、先に提案の適合性や窓口を確認するほうが役立つ場合があります。不明な欄は、推測で埋めず「未確認」として残します。
04優先順位は、点数より先に「行動」で分ける
採点を細かくしすぎると、採点するための調査が仕事になります。初期は、次の三つに分けるだけでも動き出せます。
- 提案準備へ進む:対象条件が合い、次の連絡先や連絡方法が分かっている。
- 追加調査する:適合しそうだが、優先判断に必要な情報が不足している。
- 見送る・時期を待つ:対象条件が合わない、対応できない、または連絡を控える理由がある。
見送り理由は残しておきます。「反応がなかった」と「条件が合わなかった」では、次の打ち手が違うためです。相手から再連絡不要と言われた場合も、別の担当者が同じ連絡をしないよう共有します。
05一巡したら、件数ではなく「外れ方」を見る
実際に連絡すると、調査では分からなかったことが出てきます。担当部署が違う、導入時期が先、商品は合うが供給条件が合わない。これらを一律に「失敗」としてしまうと、次のリストが変わりません。
たとえば窓口違いが続くなら、企業選びではなく窓口の探し方を見直します。商談には進むのに条件で止まるなら、対象に選ぶ基準にその条件を加えます。少数の反応で全体を断定せず、同じ理由が繰り返されているかを見てください。
毎回すべての情報を更新する必要はありません。次に連絡する企業から、古い募集情報や担当情報を確認し直します。リストを最新にすることと、営業を前に進めることがつながる順番で手を入れます。
06明日の一社を決めるところまで、リストを仕上げる
いま手元にあるリストから、気になる企業を数社選んでください。それぞれに「選んだ理由」「まだ分からないこと」「次の行動」を書きます。この三つが書けない企業は、連絡より前に調査が必要なのかもしれません。
営業リストは、調べた量を示す資料にも、次の行動を決める道具にもなります。明日最初に連絡する一社について、なぜその会社なのかを説明できれば、リストの役割は一段進んでいます。
参考資料
参照確認日:2026年10月24日。